がん、心筋梗塞、脳卒中…命を脅かす怖い病気は人間ドックでは発見できない
糖尿病専門医・牧田善二氏が考える、一生涯健康で生きるために必要なこと③
また、肺がんの予測数も増えている。罹患数は大腸がんとさほど変わらないのに、死亡数ではダントツだから、それだけタチの悪いがんであることがわかる。 もっとも、タチの悪さでは、膵臓(すいぞう)がんの右に出るものはない。罹患数はランク外だが、死亡予測数では四位に入っている。また、胆嚢(たんのう)がんなども、予後が悪いことで知られる。
そして、こうしたがんを「早期発見」できると信じて、多くの人が、肺のレントゲン、腹部超音波、胃のバリウム、便潜血という検査を受けているのだ。
◇こんな検査はかえってマイナス
激増している大腸がんの発見法として用いられている「便潜血検査」は、便を採取し血液成分が混ざっていないか調べるものだ。
大腸にがんがあれば、そこから出血して便に混ざるという理論だが、この検査の見落とし率は一五パーセントにも上る。たとえがんがあっても出血するとは限らないし、たとえ出血していたとしても、そのときの便に混じっているとは限らない。
それに、出血反応があるようでは早期とは言い難い。
だから、この検査に頼るのは非常に危険だ。
同じく激増している肺がんを見つけるためのレントゲンも、早期がんは写らない。写るがんなら相当に進行している。
さらに、壊れたテレビの画像のような腹部超音波で、早期の膵臓がん、胆嚢がん、肝臓がんなどを発見するのは至難の業である。
また、胃のバリウムは、早期がんを見つけにくいだけでなく、相当な量の放射線を被爆するから、かえって発がんの因子となりかねない。
これら検査を受けて「異常なし」と言われても、見えていないだけで早期がんが存在する可能性は充分にある。しかし、「異常なし」と言われたら安心してしまう。むしろ、受けないほうがいいと言えはしないか。
<『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)より抜粋>
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